医師になるために

現役医師が紹介します。 ishps.org

野戦病院のような感覚も

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近所で不審な男が意味不明なことを言いながら暴れているといった通報が警察に入って、知事命令で診察依頼(措置診察という)があれば留置所に出向いて診察したりすることもあり、警察と精神科は関係が深い。

また弁護士や裁判官などの司法関係者ともしばしば会合をもつことも精神科医の特徴であろう。

かといって、精神科医が身体を全く診ないということはない。

多彩な精神症状が出現した患者さんに対して見落としてはならない身体疾患がある。

それまで全く普通だった人が、突然意味不明なことを言って暴れ始めた、急に元気がなくなったとかで、生半可な知識のある周囲の人から精神科に行ったほうがいいと勧められ精神科受診となるケースもある。

急に精神症状が出たというエピソードの裏には、低血糖、脳炎、頭蓋内出血、急性薬物中毒、急性腎不全など、見落とせば即、命にかかわる疾患があるのである。

丹念に病歴を聞き、必要があれば採血や脳CTなどの検査を行い、これらの身体疾患を除外していかねばならない。私もこれまでに幾例も経験した。

また精神科入院患者さんの中には、一般の市中病院ではお目にかかれないような酷い身体疾患をもっている患者さんもいる。

一般病院では患者さんが暴れて診てももらえないケースが多いのだ。

だから精神科病院では重篤な身体疾患をもった患者さんの突然死もしばしばある。

かつて行っていた精神科病院の当直のアルバイト先で一晩に3人亡くなったこともある。

しかも精神科病院には満足な医療機器が揃っていないことも多く、病院なのに病院でないといった現象も起き得るのである。

まるで野戦病院のような感覚で立ち向かっていかねばならないこともある。

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