医師になるために

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精神科とは?

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あなたは精神科というと、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。

精神科医に会うと自分の心を読まれているのではとか、精神科医自体が何かしら精神的に変なのではといった印象を持たれることはないだろうか。

私も医学部に入ってからでさえ、精神科医と会って自分が変なことを口走ってしまうと、「ひょっとして今、私のことを精神分析しているのでは」と思ってしまい、どうしても近寄りがたい異質的なものを感じざるをえなかった。

また他科の医師からも「精神科に進む先生は変な人が多い」など聞かされたりして、「ああ、やはり精伸科医は自分自身も精神的に病んでしまうのか」などと思い、一時期、精神科医になるのをためらった時期もあった。

しかし実際、今こうして精神科医になってみるとほとんどが思い違いであることが分かった。

とは言っても、精神科は他の内科や外科に比べその性質が大きく異なる。内科・外科などは身体を診るので身体科とも呼ばれるが、診察対象は、その患者さんの臓器である。

例えば内科の腎臓専門医であれば、患者さんの腎臓を治すことが目的である。

眼科医であれば患者さんの目を診て治す、といった感じで目的は患者さんの体内一部を診て治すことである。違う言い方をすれば、その患者さんの背景、つまりその患者さんがこれまでどのような人生を歩んできたか、どのような性格でどのような仕事をしているのか、結婚はしているのか、子どもはいるのか、今幸せなのか、など基本的にそのようなことはどうでもいいのである。

患者さんが「実は私は一度離婚していまして……」と聞いたとしても、身体科の医師には疎ましいだけである。患者さんも基本的には体が治ればそれで文句はないわけで、私がたまに病院に受診に行っても自分の病気(例えば最近できた背中のデキモノなど)のこと以外に医師と会話することなどないし相当医も忙しそうなので関係ないことを言うと機嫌が悪くなりそうで不安である。

ところが精神科は身体科とは全く逆である。

その患者さんがどのような人か、これまでどのような人生を歩んできたのか、今どのような生活を送っているのか、どのような人に支えられているのか、どのようなことで苦しんでいるのか、などまさに生活史ともいえる情報が必要なのである。

その患者さんの心を診て治そうとする科なのである。

先ほどの「実は私は離婚していまして……」といったつぶやきがあろうものなら、それは開き逃してはいけない大切な情報なのである。

精神科というものは、患者さんの層も幼児から高齢者までの心全てを対象とする実に膨大な範囲を扱う科なのである。

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