医師になるために

現役医師が紹介します。 ishps.org

医師の診断書

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成人後見人制度といって、事前に後見人を決めておけば、例えば認知症の高齢者が悪徳業者に偏され高額の商品を買わされても後で取り消すことができたり、後見人以外の人物が勝手に本人の財産を処分できないように制限できたりするのである。

後見人を認定するのは家庭裁判所であるが、本人に財産を管理する判断能力があるかないかを診断するのは医師の仕事である。場合によっては鑑定書の作成を依頼されることがある。本人が莫大な財産を持っている場合、親族間で利害関係が絡み話がややこしいケースもある。

児童思春期関係では、例えばほとんど学校に行けていない引きこもりの高校生を進級させるか卒業させるかの職員会議が毎年2月頃学校で開かれるが、その際も主治医の意見書が少なからず影響するようである。「児童の将来性を考慮して進級させた方がいい」とか「これ以上、頑張らせたら余計に精神症状が悪化する」などの意見書を書くのである。

さらに、家庭内でいろいろな問題を抱えた児童、非行少年に対して意見書を書き、その後の彼らの処遇に大きく関係することもある。このように医師の診断書は患者さんのライフイベントに関係し、大きな影響力を持つのである。

それだけに医師の診断書は一種のレッテル貼りにもなりかねない。ある医師にこの患者さんは「統合失調症だ」、「人格障害だ」と一度診断されると、実は違ったとしても一生患者さんに付いてまわるのである。

実は私も会社員時代、会社の集団健康診断で、アルバイトの内科研修医だと思うが、間違って結核と診断されてしまったことがある。

診断は胸部レントゲン写真の判定のみで、その他の検査など一切行われておらず、恐らく他人と間違えられた可能性があるのだが、その後も結核の診断はずっと私に付いてまわり、会社でもいろいろと苦労する羽目になった。

結局、あるベテランの内科医にきっぱり否定してもらって診断は除外されたが、一度医師に間違って診断されたら、その後、既往歴として病名がついてくるので、場合によっては大変な目に遭わせることもあり、医師の影響力と責任は何かと大きいのである。

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