医師になるために

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児童思春期の子どもも患者に

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診療対象患者さんは下は1歳半から上は上限がない。

1歳半は保健所で施行されている1歳半検診で要フォローとされた幼児の発達相談外来である。

上は70~90歳代のアルツハイマー型認知症患者さんが多い。

児童で多いのは自閉症や注意欠陥性・多動性障害などの発達障害、不登校、親からの被虐待児などである。

思春期では、それらに加え、家庭内暴力、摂食障害、家出、過量服薬、リストカットなどの白傷行為、自殺企図、シンナー乱用、薬物乱用、万引き、性非行などである。

通常の子でも思春期は人生で最も大きく心が揺れ動く時期である。このため、外来診察場面では実に多彩な症状をもった少年少女たちと出会う。

ある非行少女に出会った。

彼女は中学生の頃から、家族との確執に悩み、拒食、リストカット、過量服薬、万引きを続けていた。

最初の診察でいきなり私に向かって声を荒上げた。「私を本気で診る覚悟ある?私真剣なのよ。診る自信がないなら止めるから」。

思春期外来は毎回真剣勝負である。彼女も必死であった。それから彼女は毎回何度も私に敵意を露にしてきた。

本当に途中で見捨てないで診てくれるかといった私への試し行動である。

夥しいリストカットの痕、拒食でどんどん落ちていく体重。回を重ねる度に少しずつ心を開いてくれ、自傷の回数が減り体重も増えてきて良くなったな、と思いきや、「死のうと思って薬をまとめ飲みした」といった展開が約1年続いた。

その度私は振り回されて、出ロがみえなかった。

そうするうちに「もう大丈夫、よくなった。学校にも通える」と言い出し、突然学校に行き始めた。

私もとりあえず安心した。

しかしそれもつかの間であった。彼女の母親から「娘が窃盗で警察に捕まった」という連絡があった。

聞くところによると、ずっと窃盗を続けていたらしい。

私の前では精一杯よくみせていたのだろうかと思うと、残るのは無力感だけであった。

結局彼女は数日間警察に拘留された後、少年鑑別所に送られてしまった。

私はその時患者さんを治せないのではという不安に取り付かれ、精神科医の仕事への虚しさに苛まれてしまった。

その後も彼女とはいろいろと紆余曲折があった。

それがどう影響したかは分からないが、結果的には劇的に改善し現在、希望の職業に就け真面目に働けている。

職場恋愛後結婚し、近々出産予定であるという。

思春期の少年少女は関わり次第劇的に変化していく。それを実感した一例であった。

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